黒死牟にはこだわりがあった。
タオルは必ず今治タオル。それなのにその日は違うタオルハンカチを持っていた。
忙しすぎたのだ。その日だって昼食を取る暇もなくトイレに行く暇すらなかった。
だから日が暮れてからやっと取れた貴重なトイレ休憩までそのハンカチが今治タオルではないことに気がつけなかった。昼間にそのハンカチを使っていたのにもかかわらず、だ!
黒死牟は地味にショックを受けながら仕事に戻る。
あのハンカチは、縁壱のものだ。いつ紛れ込んだのだろう。そんなことを考えずにはいられなかった。この分だと、ハンカチ以外にもお互いの洗濯物が混ざってしまっているかもしれない。
以前下着を取り違えてしまった時のことを思いだしてしょんぼりしながら、この案件が片付き次第、一日でもいいからお休みを頂こうと思う黒死牟だった。