NOVEL 小ネタ(〜1000)

秘書しぼ〜小ネタ10


 休憩時間にスマートフォンを確認すると、弟からメッセージが届いていた。黒死牟は少しだけ迷ってからスマートフォンをポケットにしまう。  
 そしてオフィス内にあるレンジに朝買ったコンビニ弁当をセットする。設定は七百ワット、二分と少し。  
 レンジの中の弁当がくるくると回り始めたのを確認してから、再びスマートフォンを取り出し弟からのメッセージを開いた。

 メッセージは写真が二枚送られている。  
 おそらく海外であろうホテルの中庭のベンチに座った縁壱の自撮り写真と誰かに撮ってもらった写真。どちらも縁壱に大量の猫が群がっている写真だった。  
 膝の上に三匹、足元に五匹、腕に抱えられているのは二匹、肩に一匹、ベンチの上で縁壱にすり寄っているのは三匹。

 写真の次に送られているメッセージには  
「猫です」  
「沢山います」  
「あたたかくて可愛いです」  
「写真を撮ってもらいました」  
「モロッコにいます」  
「言い忘れてました」  
「帰ったら会いましょう」  
「お土産楽しみにしていてください」  
とある。

 縁壱は昔から動物に好かれやすい。放っておくとすぐに動物に囲まれていた幼少期を思い出し、くすりと笑った。

 黒死牟は画面に指を滑らせ  
「楽しみにしている」と送る。  
 そして「俺は犬派だ」と送る。

 レンジが止まり、温まったコンビニ弁当を持ってデスクに戻る。コンビニ弁当はカレーだった。  
 黒死牟はもう一度スマートフォンを開き、縁壱に  
「お土産はスパイスがいい」と送り、  
「猫も可愛い」とついでに送る。

 休み時間はあと三十分。  
 黒死牟はメッセージアプリを閉じてカレーを食べ始めた。