お品書き
新刊『愛執葬送曲』
■現代転生軸
■記憶なし×記憶なし
■年齢指定
■現代の縁壱と戦国縁壱の二人と巌勝の三人の絡み(3P)っぽいシーンがあります
サンプルは現代のシーン、戦国時代のぬるめの年齢指定シーン、3Pもどきシーンの冒頭を載せています
△通販に関しては07/31開催のWEBオンリーイベントにてBOOTHを利用予定です
どうぞよろしくお願いします
サンプル
(略)
部屋に帰ると巌勝はベッドの上でうたた寝をしている。
最近、巌勝はよく眠る。夜にあまり寝た気がしないと言って昼に寝ることもしばしばだ。
縁壱は眠る巌勝の頬をそっと撫でる。
頬骨のあたりから顎、そして唇に触れた。何度も下唇をなぞる。ほんの少し開けられた口から指先に温かい息がかかった。
縁壱の口の中に唾液がたまる。それをごくりと飲み込む。それから巌勝を起こさぬように静かに唇を合わせた。ちゅ、というリップ音がやけに大きく聞こえた。
「まだ起きないの?」
縁壱は小さな声で話しかけ、もう一度唇を合わせる。
歯列をなぞり、口蓋を擽り、舌を絡ませる。ベッドに乗り上げると巌勝の後頭部をおさえ、角度を変えて咥内を味わった。
身体中が熱くなり、心臓がうるさく動く。縁壱は生理的な涙でぼやける視界の中で、兄の輪郭を見失わないよう、しっかりと抱きしめた。
「ンッ! は……ぁ、あ……兄さん。おはよう」
「おはよう、じゃない」
不意に舌に鈍い痛みが走り唇を離すと、巌勝が縁壱を睨み付けていた。
「寝込みを襲うなんて、いい度胸してるじゃないか」
変態、となじる声は鋭い。しかし、本気で舌を嚙むことのない彼はやはり己に甘いのだと縁壱は思う。
その甘さに付け込んでいるとも言えるが、それは『弟の本能』とでも思っていてほしい。なぜならその甘さはきっと『兄の本能』だと、決して『恋』ではないと巌勝は言うのだろうから。
「兄さんを起こそうと思って」
「普通に起こせよ」
巌勝は上半身を起こして伸びをする。
「今何時だ?」
「三時」
「もう少し寝られたのに」
「夜眠れなくなるよ」
「……いいんだよ。寝られなくても」
眠そうにする巌勝に「夜になったら無理にでも寝かせてあげようか」とこめかみにキスをして軽口をたたき「そうだ」とサイドテーブルに置いていた小袋を手に取る。
「金平糖買ってきた」
そして袋を開け、桃色のそれを一つ取り出すと口に含み、また唇を合わせる。今度は口をこじ開けて金平糖ごと舌を咥内に挿し入れるために。
巌勝は抵抗しなかった。それどころか縁壱の腕をつかみ、引き寄せると貪るようにキスをしかける。その瞳は好戦的な光を宿していた。
ころころと金平糖が二人の咥内を行き来する。
外からは帰宅途中の小学生の声が聞こえる。最近流行っているポップソングを歌う無邪気な声。
窓から差し込む日差しは温かい。
響く水音と二人の息遣いが、身体の奥でくすぶり始める熱が、部屋の湿度を上げていく。
やがて巌勝がゴクリと金平糖を吞み込んでしまったらしく、ケホケホとせき込み「負けた」と悔しそうに言った。
「勝負じゃないでしょう」
「いいや。これは勝負だろ」
「じゃあ、俺の勝ちでいいならご褒美もらってもいい?」
再びシーツに巌勝を沈めた縁壱は「一回だけ。ちょっとだけ。ね?」と強請った。
巌勝は「しょうがないな」と渋々受け入れる。
だが縁壱は知っている。巌勝だってまんざらでもないのだ。
その証拠に、膝で股間を押してやると既にそこは芯を持っている。
「んっ……は、あ、あっ!」
ぐりぐりと膝で虐めながら宥めるようにキスの雨を降らせると、巌勝はみるみるうちに瞳を蕩けさせていく。こんなに快楽に従順で心配にもなるが、きっと彼の言う通り「縁壱にだけ」なのだろう。
「優しく――一等、優しくしてあげる」
縁壱は告げた。
巌勝は顔を赤らめてフイと顔をそむけた。
「好き。兄さん。大好きです」
二人の影が重なった。
(略)
月光を浴び、銀色に輝かんばかりのその肌に舌を這わせることは祈りに近い行為に思える。それは、この身にたまった穢れを兄が清めてくれているという幻想だ。
一糸まとわぬ姿で横たわる兄の両ひざの間にこの身を滑り込ませて兄の身体に隅々まで触れる。「ああ、ああ」という悩ましげな兄の声は縁壱に許しを与える言葉だった。
縁壱は巌勝の性器を指先で擽った。さんざん口で奉仕したそれは指による愛撫に次から次へと涙をこぼす。兄の求めを正確に読み取るため、ほんの少しの機微をも見逃さぬように目を凝らす。
そのうち、兄の声に焦りが滲み始めた。クチュクチュという卑猥な水音に兄が煽られているのだと気づけばわざと音を立ててやった。
「兄上。果ててしまいそうですか。この縁壱の手で」
「ア…ンッ、い、言うなッ、あっ、あっ、は、ああ!」
手のひら全体を使ってしごき上げ、同時に鎖骨にかみつく。ビクビクと手の中で震える熱にいっそ感動を覚えた。
ぺろり、と己の唇をなめて、そして巌勝の首筋に舌を這わせる。
兄の身体に鳥肌が立ち、口からは押えきれなかったのであろう酷く甘いさえずりが漏れた。
あと、もう少し。もう少しだ。
縁壱は指の腹で鈴口を夢中でえぐった。
「お゛あ、あ、あ、あああ!」
悲鳴を上げて、頂点まで上り詰める巌勝の、苦しそうな、しかし快楽に蕩けたその顔!
縁壱の手の中では巌勝の性器がビクビクと震えながら白濁を吐き出す。手のひらが汚されていく。否、汚れていくなどとは思わない。
「゛あっ、やぁ! よりっ、いち、だめだ、果てたばかりでっ! ひあ! あああ!」
欲を吐き出した身体は、しかし、まだ熱を持っている。
縁壱は思った。
もう一度、己の手で快楽の頂点に上り詰める巌勝の姿が見たい。
(略)
夢を見た。
鬼を斬る夢ではない。
兄が、巌勝がいる。その兄のそばに何度も夢に現れた大人の自分がいる。
大人の自分と巌勝は何だかよく分からない思い出話をしていた。きっと夢にみる鬼を斬る自分と兄の思い出話に違いない。
二人には自分の姿が見えていないらしい。だから、兄の隣に座る。そしてまじまじと兄を観察する。
その姿はいつもの兄で、夢の中に現れる侍の姿ではない。しかし、兄よりもいくぶん大人びていて、少しひねくれていて、どこか寂しそうな人だった。
兄が目を伏せてそっと溜息をつく。
睫毛が震えて、憂いを帯びた瞳が潤む。
背筋に電流が走った。もしも触れられるなら、その唇を奪って、己しか見られなくなるようにしたい。その心の中にあるものすべてを暴くがごとく、乱れさせることが出来たらどれほどよいだろう!
そう思っていたら、大人の自分が巌勝の顎を掴み、キスをした。兄は驚くこともなくそれを享受する。