巌勝の自慢は人間の食べ物を好んで食べることだった。
白米、食パン、大根の味噌汁。オムレツ、肉じゃが、スパゲッティ。天ぷら、ほうれん草のおひたし、餃子。カレーライスにシチュー、ラーメン。
彼は金魚であるからして、本来であればその味を堪能することは出来ない。しかし彼は人間が食べられるものであればどんなものだって食べることが出来た。なんせ彼は特別な金魚であるので。
基本的に料理をするのは縁壱で(巌勝に作らせると台所が殺人現場のようになる)、巌勝は食材を調達する。勿論、縁壱の稼いだ金で。
そんな巌勝の好物はブリの照り焼きだった。
縁壱が半分ぐらい、共食いだなあと思っていたら巌勝も「共食いだな」と笑ってみせた。これは俺の反応を見てるな、と、縁壱は気づく。
まったく巌勝は悪趣味だった。